風景写真論 (8)
山岳写真家の川口邦雄が「どうしたら、あんなにきれいな写真を撮れるのですか」と聞かれたら、「簡単だよ。ぼくの横で撮ればいい」と答えたという。実際には、隣で撮っても同じ写真は、撮れない。どこをどう切り取るかは、写真を撮る人にゆだねられている。
前に書いたように、今年は、市立図書館から写真の撮り方の本を借りては読んでいるというか見ている。どの本も解説は同じで、定石というのは、ほぼ同じなのだろう。中に、構図というテーマがあり、黄金分割がもっとも安定している構図で、日の丸構図はいけないと書いてある。構図の勉強となると絵画の世界だ。しかし、構図では絵画に勝てない。北斎の波裏富士などは、現実的にはありえない構図である。ただ、デジカメは、合成ができるので、ありえない構図を作ることができるが、その辺もあとで論じられればと思う。
花鳥風月と、写真はこう撮るというプロの解説、そして、美しい写真を撮るには、プロが撮ったいい景色をそこに行って撮ればいいという条件を重ね合わせてゆくと、アマチュアは、プロの足跡を一生懸命追っているみたいものだ。プロの写真家の隣で撮っているようなものだ。
しかし、学びはまねびである。将棋だって、定跡というものがあり、初手は、76歩か86歩である。私も花の撮り方の写真の本を借りてきて、前ボケ、後ボケ、朝露がついている、トップライトはダメ等等のテクニックをプロの作例を見てはまねをして撮っている。
でも、美しく撮れればそれでいいのだろうか。
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