日曜カメラマン
市立図書館から「信州美景全科 撮影ガイド」という本を借りてきた。本屋で見かけて買おうかとちょっと迷った本だ。桜の撮影ガイドとか紅葉の撮影ガイドとかいろいろ出ているのだが、たいていは全国版で買う気にならないのが、「信州」限定である。この本もカメラの棚ではなくて、地方の棚にあった。
上條英雄という人が撮影したもので、長野県の有名な撮影地をほぼ網羅している。こういう本がでるとそういう場所はいっそうカメラマンが押しかけるだろうなと思う。天邪鬼な私としては、この本に載っている場所は避けたいという気持ちに駆られる。しかし、すばらしい写真ばかりである。この上條さんは、塩尻在住の方で、略歴にレストラン業のかたわら風景写真を撮り始めると書いてあるから、趣味が昂じて、プロになった人である。北信の写真だけを見ても、すばらしいシャッターチャンスの写真ばかりで、すごいなと思う。日曜カメラマンとは、意気込みが違うと感じる。
おしまいの中橋富士夫との対談の中で、著名な写真家が信州をあまり撮らないし、撮っても桜の木を山も入れずに撮っているというところを読んで、同感だと思った。信州人から見るとひとつひとつの山に名前があり、愛着があるのである。飯綱山でも太郎山でも烏帽子岳でも、そこに住んでいなくても名前を聞くとなつかしいのである。この写真ガイドに写っている山は、アルプスがほとんどでそういう地元の山ではないが、信州に住んでいる人間が信州を撮るひとつの方向性を教えてくれている気がする。
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